えっちゃんの中国美大日記 第52回「日本にもゆかりのある作家・武芸個展《溯源・二十四孝図》」
武芸
1966年生まれ。中央美術学院壁画科副教授 中央美術学院国画科出身。出版物に日本を描いた作品集「京都」「大船」などがある。
日本にゆかりのある作家
6月18日、北京のSOHOにあるMEBOSPACE美博ギャラリーにて武芸の個展のオープニングが行われました。武芸は中央美術学院の壁画科の先生で、実は日本の京都や大船など描いた作品を作品集として出版するほど日本と関係が深い作家。制作や旅行でもよく日本にくることが多いという彼ですが、今回のテーマは中国の伝統的物語を描いた《溯源・二十四孝図》。どのような内容なのでしょうか。
《二十四孝図》とは何か
そもそも《二十四孝図》は中国の古代の24人の孝子(親孝行をする子供)を描いた物語で、元の時代に創られたといわれております。元代の学者・郭居敬が編録した「全相二十四孝詩選」には「孝感動天」「鹿乳奉親」などの物語があります。儒教のなかで「孝」とは家庭内でも社会でも美徳とされています。
陳少梅へのオマージュと「孝」が中国における意味
武芸の描く《二十四孝図》のもとになっているのは民国時代の画家、陳少梅の作品で、彼の工筆画の作品を武芸が油絵で再創作をしました。武芸は以前から黄公望の《富春山居図》、清の時代の《先賢像伝》や敦煌の作品をオマージュとして制作に使っており、美術史的な作品をいかに現代とつなげるか考えて制作をしています。今回武芸が「孝」という題材を描いたことには、オマージュだけではなく、「孝」が古代中国と現代の中国において倫理的、社会的制度構築に深く関わっているという意味に関して考えさせるものがあるかもしれません。展示は8月18日まで。
武芸個展《溯源・二十四孝図》
会期:2016.6.18-8.18
会場:MEBOSPACE美博(北京朝陽区望京SOHO 、Building1,C,Floor2,12234)
キュレーター:唐澤慧
アーティスト:武芸