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えっちゃんの中国美大留学日記 第76回「INGARTアートフェアは何処へ向かっているのか? ― 包一峰にインタビュー」

えっちゃん5
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JINGARTの創設者のひとりである包一峰、北京に新しくひらいたアートフェアJINGARTについてインタビューをした。

包一峰
広報(Public relation)の会社を運営。上海のアートフェアART021とJINGARTの創設者のひとり。

会場にてインタビュー 右はJINGART創設者のひとり、包一峰、左は筆者江上越

会場にてインタビュー 右はJINGART創設者のひとり、包一峰、左は筆者江上越

江上:反応はどうですか。

包:最初の一回目はみんな期待していないと思います。上海021はみんな何度かいったとおもいますが、まず北京のこの場所は多くの人が来ていないのではいないかと思います。ここの場所はとてもよくて、デザインの細部にもこだわっています。来場者にどのように歩きながら見てもらいたいのかいろいろと考えました。なるべく引き算をして、シンプルに、展示のロゴもよく考え、建築と呼応するようにしました。北京は包容力があると思うので、今回はジュエリーや家具、磁器など、今回は多くはないですが、今後は増やしていきたいなと思っています。昨日のVIPでは喻红先生にも会いましたよ。

江上:なぜ今回はこの会場を選んだのですか。

包:なるべく大きなところを排除しました。面白い会場であり、かつ中心部、地下鉄の駅の近く、そしてここには500の車が止められる駐車場があることが魅力でした。海外のギャラリーがきても、上海のギャラリーがきても面白いと思える会場を選びました。

江上:今後JINGARTはジュエリーや磁器などの割合が増えますか。上海で行っているART021と比較するとどこが違いますか。

包:JINGARTでもそれらは増やそうと思っていますが、基本はやはりアート作品です。
2つのフェアではコレクターの層が違うといえます。JINGARTでは近代のアート作品、骨董に興味ある人にもみてもらいたいです。北京は骨董のコレクターが多いです。

江上:包さん自身もコレクターのひとりですが、今回のJINGARTではコレクターにどのようなサービスがありますか。

包:実際はコレクターに多くの便宜を図りたいと思います。ガイドブックなどレクチャーVIPカードで北京のほかの展示場所に入場できたりしています。この建築はおもしろくて、小さいのゆっくりリラックスして見れるようにしています。

江上:021とJINGARTのコレクターの違いは?

包:北京ではやはり北の人、021ではやはり南の人が多いですね。年齢では分けられないですね。

江上:コレクターの眼線からすきな作品はありますか。

包:誠品画廊がもってきた劉小東さんの作品はすきですね。あのような小さな作品が見れて嬉しいです。実際今回主催者側としては参加ギャラリーにはなるべく2000年前の作品をもってきてほしいと話しました。近現代の作品が増えるように、脈絡というか、変遷がみれるようにしてほしかったです。そしてこの会場をみてなるべく会場にあうように作品を持ってきて欲しいと考えました。とくに壁の色を塗ったギャラリーは今回多いです。

江上:包さんは広報会社出身ですよね。そのような経歴はフェアの開催にどのように影響していますか。

包:いままでは紙のメディアですが、現在は多くが社交メディアSNSに依存しています。SNSとくに私達3人のWEIBOで数千人を影響できると考えています。それらの数千人がまた拡散するとより多くに人を影響します。これが伝播の力ですね。そしてAPPや今年はチケットを売っていません。ネット上で予約制で入れるようになっています。このようにファンを増やしています。

江上:ずっと疑問に思っていたのですが、なぜ021からあなたと応青蓝,周大為、この三人でアートフェアを作ろうと思っていたのですか。
包:最初はわたしと応青蓝で新しい会社を作ろうという話をしていたのです。海外のよいギャラリーや展覧会とコラボレーションし中国に上海にもっていこうという話をしていたのです。その2013年ちょうど上海のアートフェアが急遽キャンセルになったのをきっかけにほかのよいアートフェアをつくろうという話になりました。
三ヶ月ですべてやりました。以前からギャラリーとなかがよかったので29のギャラリー、メディア呼ぶことができました。

江上:三人に役割分担はありますか。

包:企画やメディアは僕です。応青蓝は以前雑誌の広告に携わっていて政府関係、スポンサー、一部のネットメディア、周大為は美術史のバックグラウンドであり戦略、投資画廊などわたしたち3人でギャラリー、コレクターに対応しています、

江上:うまく分担していますね 笑

包:お互いうまく補いあっていますね。

江上: 国際的なギャラリーが今回参加していますね。ペロタンや日本のギャラリーなどの参加は何を意味していますか。

包:まずは海外のギャラリーに中国にマーケットがあると自信をもってもらいたいです。
コレクションをそんなに高級にするのではなく、趣味としてコレクションをしてもらうことを促したい。

江上:今回の日本のギャラリーは3つですが、主催者側のセレクトですか。

包:そうです。いろいろと考えてそうしました。東京画廊は日本のコレクターの資源があります。SOKYOは現代アートに特化しているとおもいます。白石画廊は専門的に具体派を文脈的に展示することで、もの派や具体と時代のつながりなどを来場者にも見せることができたお思います。クラシックから現代アートなどひろく扱っています。

江上:中国のコレクターは中国の作家を主にコレクションするといわれていますが

包:いまは変化しています。コレクターは新しい視野をもっていて海外の美術館の理事などになっています。

インタビューに答える包一峰

インタビューに答える包一峰

江上:包さんはよく東京アートフェアにもいっていますね。西洋のアートフェアと東洋のアートフェアの違いはどこにあるとおもいますか。

包:西洋のアートフェアの多くは展示会社が主催、東京アートフェアは文化部など政府のサポートがあります。私達のアートフェアは商業的で3人の力をあわせているので、考慮する部分が逆に少ないと思います。自分のやりたいことがストレートにできるようにしています。

江上:今回の資金はどこからきていますか。
包:今回のスポンサーはポルシェ、腕時計のHUBLOT、HENNESYですが、足りない部分は自分達で資金を出しています。

江上:東京アートフェアと中国アートフェアの違いは?

包:日本はもっと広範囲で工芸から伝統の和紙まで、規模がおおきくなっていますね。でも海外よりかは日本独自のマーケットがあります。日本のギャラリーがおもですね。でも国際的なコレクターがありますが、かれらはスイスバーゼルに行き、かれらにとって東京アートフェアは日本の状況をみているとうような状況ですね。
東京アートフェアの展示のしかたはコンテンポラリーとクラシックは全く分かれていますね。中国では私達は融合していきたい。

江上:デザインは入ってきますか。

包:デザインも考えていますが、デザインは廉価なものよりかは、限定な、意味のあるものをいれたいです。

江上:現在アートフェアは社交の場にもなっていますが、アートに着目するアートフェアとの矛盾はどのように考えていますか。

包:矛盾はないとおもいます。アートフェアは純粋な商業活動なので、学術なのは美術館で、購買意欲、衝動をもってもらうことを考えています。

江上:今後の予定は?

包:ゆっくり考えないといけませんね。内部の整理と解決方法など。

江上:今後中国のマーケットは拡大すると話していましたが、なぜ今、北京でアートフェアをひらいたのですか。

包:まずは021(秋)と違う時期と考え、アジア区域にアートフェアがない期間がいいと考えました。上海も5年終えたので、新しいことに試みたいということで、昨年北京でやろうと決めました。

江上:他の北京でのアートフェアとどのように考えていますか。

包:北京の市場は大きいので、みんなが同じことをしなければいいと思います。私達はやはり小規模で限定してやっていきたい。

江上:JINGARTが美術界に与える可能性は何ですか。

包:まずは包容力です。自分たちでも期待しています。コンテンポラリーだけではなく、雑多でなく、レベルの高い包容力を目指したいです。

江上:期待しています。

JINGARTの会場にて 筆者江上越(左)と包一峰

JINGARTの会場にて 筆者江上越(左)と包一峰



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