えっちゃんの中国美大留学日記 第61回「6月30日に東京銀座で個展! 江上越個展 (予告編)」

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このたび東京の銀座で個展をすることになりました。

コンセプト
言葉の起源を通して、人間の本能を探求し、言葉による社会を考え直すというコンセプトから作品制作をはじめた江上越は北京をベースに活躍する日本アーティスト。自分の生活体験からインスピレーションを得て、音から絵画へ、今回の発表はコミュニケーションの新しい可能性に一石を投じるのではないだろうか。

江上越個展
会期:2017.6.30(金)~2017.7.13(木) 日曜日は休廊日
オープニング:2017.6.30(金)18:00-20:00
休廊:日曜日
開廊時間:月~金  11:00-19:00
     土曜日  11:00-18:00
     最終日  11:00-17:00

会場:ギャラリー・アートグラフ/東京
〒104-0061
東京都中央区銀座 2-9-14 銀座ビル 1F
TEL:03-3538-6630

えっちゃんの中国美大日記 江上越個展東京576

学術支持:易英YiYing

覆い隠された真相
――江上越の「誤聴」
易英 (北京・中央美術学院人文学院教授 博士指導 芸術評論家)

 江上越の作品は2つの部分に分けることができる。ひとつは「絵画の顔」で、もうひとつは「誤聴の行為」である。もともと両者は関係がない。つまり、彼女の描く絵画を見て、絵画の後ろにあるものを思いつかない。絵画は一見シンプルだが、表現主義的なスタイルとしては完成度が高い。行為は隠されていて、作品の表面上には現れないが、説明を通して私達は行為にはとても重要な意義があると知る。行為の意義は自足的で、絵画が行為の意義を強化したのか、意義を延長したのか、画家は説明をしない。絵画上の人の顔のように、スタイルは明確だが、ひとつひとつのイメージはどれも曖昧でよく見えない。私は2つの部分をつなげることで作品の意味を理解し、作品の鑑賞に入ることを望む。

 「誤聴」それは江上越の生活経験からきている。彼女は日本から中国に来て、面白い現象を発見する。同じ漢字に違った発音があり、日本語の漢字の発音を中国人が聞くと全く違う意味になること、時には全く反対の意味をなすことである。もし音声がシニフィアン(能記)であるとするならば、中国人と日本人が聞くと、まったく異なるシニフィエ(所記)をもつことになる。共通する漢字が異なる音を発し、異なる意味を持つ。これは日本語と中国語特有現象であり、コミュニケーションの障害を造りだす。日本語と中国語を学ばなければ、シニフィアンのシニフィエを分からないし、言葉の真相または言葉が表現しうる真相を知ることもできない。江上越の行為はこれを基礎として展開し、その意義をさらに大きなコミュニケーションに延長させ、ある種の絶対的誤聴にまで発展させた。ランダムに選ばれた様々な身分の人々は、彼女がランダムに選んだ日本語または中国語の言葉を聴き、自国の言語からその発音の意味を解する。例えば彼女の苗字「江上」の日本語発音が中国人に「一袋子米(一袋のお米)」と聞き間違えられたりする。

これはゲームに近いような行為で、参加者は何気なく参加し、突然この声を聞く。無意識に連想をし、当然それは絶対的誤聴であり、参加者は満面の困惑を隠せない。行為が絵画の素材となる。絵画は行為を描写するプロセスではなく、誤聴と困惑を描く。彼女個人にとってはある種の経験の描写であり、彼女自身の誤聴経験をある特殊な方法で記録する。人の顔であって肖像ではない。なぜなら具体的人物の形象を描写するのではなく、ある行為に対する記録である。参加者の誤聴過程での身体反応や表情などの反応である。もちろん画家自身も参加者であり、彼女自身がシニフィアンの創造者であり、誤聴はシニフィアンの結果であり、シニフィエの無限の漂移でもある。人の顔は漂移のシニフィエであり、それは不確定的で、曖昧で、具体的な形象を持たない。しかし、作者にとってこの漂移のシニフィエはそのシニフィアンに遡ることはできる。なぜなら、このシニフィアンが彼女の経験から付与されたからである。

 「誤聴」は実際には文化の衝突であり、グローバル化の今日において、「誤聴」は毎日発生している。「誤聴」を通してでしか、異質的文化が異なる文脈の中での自我的存在を強烈に感受できない。江上越は「誤聴」から抜け出そうとはしない。彼女はゲームという形で私達に多元的文化の存在を知らせているのではないだろうか。ゲームであるのは、それが常に私達の身の回りに起きていて、それが真相にほど遠くない。しかし「誤聴」は往々にして真相を覆い隠す。それが意図的であったとしても、そうでないにしても。

江上 越
1994年日本生まれ 
千葉県立千葉高校卒業後
北京・中央美術学院大学院油画科在学 劉小東に師事
今年の10月からドイツのカールスエー・アート・アンド・メディア・センター(Center for Art and Media in Karlsruhe)のメディアアート学科に在籍する。