えっちゃんの中国美大日記 第35回「海抜4600m!風力8!で写生―刘商英,中国美術館で初個展」

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 えっちゃんの中国美大留学日記第24回にも掲載された画家、刘商英先生の展覧会が中国美術館で個展を開かれました。日本と違い、中国の国立美術館は「中国美術館」のみ。なのでこの場所で展覧会を開けるのはやはり実力のある芸術家ということ。その影響もあり、ここでの個展というと比較的年配のアーティストが多いなか、今回の展覧会は会場構成から作品制作に関わる映像の配置、デザインへの重視など新世代の変化が見られます。

刘商英
 刘商英は1974年生まれ。中央美術学院付属高校から大学、大学院まで中央美術学院で過ごし、そのまま学校に残り教師となりました。海外留学がはやっている中、最初から最後まで中国式アカデミックの教育をうけた彼の創作方法と若い世代の教育方法は中国的な脈絡がありながら、且つそれをどう現代のグローバルにつなげるのかが感じられます。

刘商英(右)と筆者

刘商英(右)と筆者

コンセプトは蘇軾の詩から
 展覧会のタイトル「空故纳万境」は中国古代の苏轼(蘇軾1037-中国北宋時代の詩人)の詩である“欲令诗语妙,无厌空且静。静故了群动,空故纳万境。”(つまり、心が静かなときにやっと自然界の動きを悟り、心が空になったとき、万物は心に入る)から来ている。キュレーターは前中国美術館館長であり現中央美術学院院長の范迪安!(えっちゃんの中国美大日記の第32回に彼のインタビューが掲載されてます)
 
 当日開幕式には中国のドンが続々と出席。党委副書記の王少軍、中央美術学院の詹建俊、钟涵、杜键、戴士和、袁运生、孙景波、中国美協油画芸委会秘書長の徐青峰,上海美术館副館長の李磊,中国国家画院油画院副院長张祖英,中央民族大学副校長殷会利,清華大学当代藝術所所長杜大恺などいろんな先生がいらっしゃいました。

展示会場風景

展示会場風景

高山病と戦いながらの制作
 この展覧会で展示された作品の多くは、刘商英が去年の夏にチベットで写生をした大作。なんと海抜4600mの山奥でのスケッチのため、風力8級によってキャンバスが飛んでしまうのを防ぐためオーダーメードの建設用の鉄骨の支えを用意するほど。それも作品の大きさが普通ではない。その環境で描かれた作品を前にすると、チベットの壮大な自然のなかでの人間の小ささを感じてしまいます。

 刘商英は開幕式にて「阿里(チベットの場所)は一つの幻像で、私にとっては真実ではありません。そこでは無限に巨大な雲が変形し続け、躍動しています。ここで私が感じるのは一種の巨大な冷たさです。ぞこで絵画を描くことは、蛾が火に向かって飛んでいくのと同じなのです。」と話しています。

キュレーターの范迪安(左)とアーティストの刘商英

キュレーターの范迪安(左)とアーティストの刘商英

刘商英が恩師と呼んでいる詹建俊(左)と刘商英

刘商英が恩師と呼んでいる詹建俊(左)と刘商英

第三工作室主任谢东明教授(右)

第三工作室主任谢东明教授(右)

刘商英の作品を扱う橋舎画廊オーナーの周大為(中)と水墨家で鑑定士の曾さん

刘商英の作品を扱う橋舎画廊オーナーの周大為(中)と水墨家で鑑定士の曾さん

詹滢(左)

詹滢(左)

開幕式の出席した来賓の方々

開幕式の出席した来賓の方々

展示ポスター

展示ポスター


空故納万鏡―刘商英藝術展
展示会場:中国美術館3,7号展示室
会期:2015.6.16-6.25