えっちゃんの中国美大日記 第33回「東京藝術大学の宮田亮平学長も参加の《社会を創るための美術教育》学会」

えっちゃん5
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美術教育が社会を変えられるのか?-
「社会を創るための美術教育」学会レポート
2015.6.11

北京中央美術学院主催で中央美術学院美術館にて6月11日、12日の2日連続で行われた「社会を創るための美術教育」学会がおこなわれた。出席者は中央美術学院の范迪安学長、東京藝術大学の宮田亮平学長、パリ美術大学のニコラス学長、ドイツカッセル大学のジョー学長、ドイツオッフェンバック造形芸術大学のクラック学長、そしてアメリカコロンビア大学教授、アメリカの博物館の研究者、中国各地の美術大学の学長とグローバルで豪華!

2015.6.11a
2015.6.11b

「美術教育」をテーマにした学会で且つこんなにも各国の著名な学長が一同に討論するのはなかなか少なく、貴重だ。藝術というとなにか高尚のようで教育との関係性はそこまで語られていない。しかし、藝術大学というのはそれを学ぶところでもある。「藝術」を学んだから芸術家になれるのか?とも疑問になるが、現在において必ずしも芸術家になりたい人だけが美大に来るわけではない。では教育機関としての美大はどのように教育をするべきなのか。社会は何を求めているのか。この学会は平凡そうで藝術将来の重要なメッセージを投げかけている。

教育だけでなく、総合体
パリ美術大学、ニコラス学長

2つの問題をなげかけた。
「藝術教育はどのような人を育てるのか?美術教育はどのような目的であるべきなのか。藝術市場は無限に発展するわけではない。それぞれの生徒が国際的な芸術家になるわけではない。パリ美術大学でも大体5-10パーセントの学生がアーティストになる。教育者にとって芸術家以外の人をどのように育成するのか。藝術の学生はそれぞれの社会に行くことができる、芸術的思考力の持った公民を育てることが藝術大学の目標である。
パリ美術大学の教育体系は三角形で、それぞれの生徒はこの三角形の中で独自の空間をみつける。一角は歴史、文化理論の教育、一角は図画、パソコン、デザインなどの技能教育、最後の一角はアトリエの方式。藝術大学は教育だけでなく、総合体であり、新しいアイディアを生む場所であるべき。」

芸大の新たな挑戦
東京藝術大学、宮田亮平学長

「東京藝術大学は教育だけでなく、芸術活動の場を提供している。上野を「世界の文化中心地」とするため、これから多くのプロジェクトが起動する。また国際化のためパリ国立芸術大学、ロンドン藝術大学、シカゴ美術館付属美術大学と「グローバルアート国際共同カリキュラム」として、世界トップの藝術大学同士の連携により、「国際藝術祭」を舞台に連携の大学教員、学生のコラボレーショによる「共同制作プロジェクト」を実施。また先端技術と藝術の融合、例えば3D技術と洞窟壁画の修復、完全再現などにもわたる。」

講演する東京藝術大学学長の宮田亮平氏

講演する東京藝術大学学長の宮田亮平氏

カッセル大学、ジョー学長
「インターネットの時代において藝術をどのように見るのか?
学生に何を見せて、どのように見るにかが一番大事。」

美術大学の再定義
中央美術大学、范迪安学長
「中国大学の改革の中、「再定義」すること、主に中央美術学院では3つの方面に問題がある。ひとつめに教と学の間に「互為主体的」新しい関係性を創ること。そして自己文化の責任を体現すること。中国社会時代の現実を踏まえて、社会生活の中から藝術のテーマを結び、中国の知恵と経験を創作に入れて中国式の藝術方法をみつけることだ。」

完璧な教育なんてどこにも存在しない。それでも今あえて「社会を創るための美術教育」というテーマで討論をする。「教育とは」、「美とは」、「社会とは」なんなのか。
これはどういう意味をもっているのか、十分考えてみたいことに思います。

CAFA Art info より

CAFA Art info より

アメリカのコロンビア大学教育学院Judith M.Burton教授と

アメリカのコロンビア大学教育学院Judith M.Burton教授

ドイツのベルリン自由大学文化メディア管理学院院長のKlaus Siebenhaarと

ドイツのベルリン自由大学文化メディア管理学院院長のKlaus Siebenhaar

アメリカPeabody Essex Museum(PEM)美術館の教育部主任Juliette Fritsch

アメリカPeabody Essex Museum(PEM)美術館の教育部主任Juliette Fritsch

アメリカ博物館協会博物館教育項目協調人 Patricia Rodewaldと

アメリカ博物館協会博物館教育項目協調人 Patricia Rodewald

右から東京藝術大学の岡山さん、李さん、中国美術館副館長の胡偉先生、中央美術学院学長の范迪安先生、東京藝術大学学長の宮田亮平先生、東京藝術大学長濱雅彦先生、中央美術学院建築学院副院長の崔冬晖先生(後列)、筆者

右から東京藝術大学の岡山さん、李さん、中国美術館副館長の胡偉先生、中央美術学院学長の范迪安先生、東京藝術大学学長の宮田亮平先生、東京藝術大学長濱雅彦先生、中央美術学院建築学院副院長の崔冬晖先生(後列)、筆者

江上 越(Egami Etsu)
1994年千葉市生まれ。千葉県立千葉高校卒業後、2012年中国最難関の美術大学・中央美術学院の造型学院に入学。制作と研究の日々のかたわら、北京のアートスポットを散策する。ここでは北京のアート事情、美大での生活などをレポートしてもらう。