えっちゃんの中国美大日記 第16回「李継開、葉勇青展オープニング-AMYLI画廊にて」

えっちゃん5

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中国北京のアートスペースには798芸術区と宋庄、草場地などがある。そのうちの草場地にある画廊のひとつであるAMYLI画廊で、今日70年後(1970年代生まれ)芸術家の代表である李継開と、日本のヨウジヤマモトともコラボしたことのある葉永青二人の個展が同時開催。

今回の展覧会は売り上げの一部を女性の乳がん基金であるピンクリボン団体に寄付するため、画廊自体が外から入り口までピンクのリボが道を誘導してくれて非日常的な感覚を味わえる。画廊の中も、ピンクのバラがいっぱいに飾られている。今回のオープニングには各界のコレクターの人や出版社、中国現代アーティストの張暁剛夫婦も出席していた。
関係者だけで行われたオープニングに、早速アーティストの李継開、葉永青と画廊オーナーであるAMYLIにインタビューをした。

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70年後芸術家の代表である李継開の今回の作品のテーマは「拾荒者(waste picker)」

江上:今年5月のアート北京では先生の油絵を、昨年は陶磁器に絵を描いた作品を拝見しました。今回の展示について今までの作品との違いは何でしょう。
李継開:今回は3mを超える大作が多いのが特徴ですね。あとはテーマが「拾荒者(waste picker)」ということでしょうか。
江上:このテーマのインスピレーションはどこからきましたか?
李継開:見た本や映画など生活のすべての経験から来てるといえるでしょう。絵を勉強している人ならわかると思いますが、実際絵にはそんなに説明も理由もありません(笑)
江上:「拾荒者(waste picker)」は文字からは拾う者という意味に取れますが、作品を見るとこの男の子たちは物を捨てているようにも感じます。
李継開:絵の中の人々はそれぞれ所有物を持って集まっています。人と物のつながりは川になって、人々は所有物のうちの破片を身にまといながら探し続けています。もののストーリーはこの捨てて拾う過程から生まれます。老若男女にせよ、それぞれの人の道のりには異なった終着点があります。人々は過去の道を本当の意味で理解することはなく、私たちは自分たちの時代しか記憶することはできません。無数の道が田野のうちに消えてしまうのと同じで、各々の人が見つめていた面は徐々になくなっていく。今歩いているこの道に未来がないことを誰が知っているでしょうか。
江上:この絵の男の子たちは現在社会を反映していて、とても考えさせられます。ところで李先生は今の中国のアートシーンをどう感じますか?
李継開:国の発展と同時でそうすれば芸術にも、国の発展が遅すぎたこともあります。未熟なものにもいところがあるし良い悪いはすべて相対的なのでなんとも言えません。でも社会よりはやはり自分の作品のほうが興味がありますね(笑)

李継開作品

李継開作品

李継開作品

李継開作品

李継開(左)と作品

李継開(左)と作品

国際的に活躍するアーティスト葉永青の作品テーマは「蔵進草間」

江上:実は初めて葉先生の作品を見たのは日本のファッション雑誌からで、そこでヨウジヤマモトとコラボした服を見ました。
葉永青:実は先日まで私は日本にいました。今回は山本耀司さんには会うことができなかったのですが、日本の教育、日本の田舎を見てきました。消えていく田舎のなかでこれは世界的なことでもあるのですが、日本の田舎は創造性にあふれていて、まだ生活が続いていることがすばらしいですね。中国の村や田舎はどんどんなくなっていますが、というのも農業は古い職業なので、今の選択が豊富な時代において持続がとても難しいです。都市化の社会の中で加速度的に無くなっている田舎はとても悲哀的です。この展示を通してこなくなっていく村たちの状態を表現したい。中国に比べると日本はその持続性があって、成長していて、時代とともに現代化していますね。
江上:人件費の高い日本ではお米など値段では他国より高くなってしまいますが、その分、ブランド化するなどして対策をとっています。
葉永青:地元特有の飲食伝統などすべてが残っているのは日本のすばらしいところです。日本の地酒や地産地消は世界的にも有名です。
江上:先生の作品とこのコンセプトのつながり方は?
葉永青:例えばこの草花などの素材を日本の万葉集につなげてみようと思いました。大自然とのつながり、成長していく葉、私は自然を模倣しているのでもあり、抽象的でもあり、そしてこの中のストーリーは史書のようでもあります。最近作った作品では、草を描くだけでなくて、新しい2つの考えを入れました。ひとつは雲南にいる文学者で中国郷土をもとに散文を書く作家にも参与してもらうことにしました。もうひとつは中国特有の「暫籍」とうもの。私は雲南出身なのですが、ふるさとにいるのに暫籍を発行しなければいけない、日本へいく時もそれが必要になります。自分のふるさとなのに、暫籍を発行する必要性に疑問を感じました。自分のふるさと、農村を振り返ってみるときにそれが新しい問題提起になるのでしょうか。

ライブペインティングのパフォーマンスをする葉勇青

ライブペインティングのパフォーマンスをする葉勇青

葉勇青の作品会場の様子

葉勇青の作品会場の様子

葉勇青(右)

葉勇青(右)

最後のインタビューはAMYLI画廊のオーナーであるAMYLI。忙しいなか、なんとかインタビューができました。

江上:今回のオープニングにはピンクのリボンがたくさん飾られていますね。
AMYLI:ええ、今回は特別に四川にある乳癌の医者を育てる基金とコラボしています。来場者は希望で寄付することができます。
江上:今回の展示はどれくらい前に企画したのですか?
AMYLI:1年前です。大体の展覧会は1年前に企画をしています。
江上:ところでamyliさんはこの画廊を開いて6年になりますが、画廊を開いたいきさつは?
AMYLI:もともとアーティストの友達もいて、アートが生活のそばにありました。そこで偶然、帰国のオファーがあり今に至ります。大学時代にアメリカのMBAに留学し、フランスのパリでは文化交流の会社を経営していました。帰国後、北京の中央美術学院で芸術理論を勉強し、画廊を開きました。
江上:この画廊は若手の作家から世界的に有名な人まで年齢層の幅が広いですね。
AMYLI:私の画廊は外国のバックグラウンドがあるのでその利点を生かして、海外のアートフェアや海外の機関ともコラボしています。画廊を作家のための新たなステージにしたい。なので、若いアーティストから年配のアーティストまでいろいろいます。これからの中国現代アートはどんどん良くなると思いますよ。

ギャラリーオーナーであるAMYLI氏(右)と記者

ギャラリーオーナーであるAMYLI氏(右)と記者

江上 越(Egami Etsu)
1994年千葉市生まれ。千葉県立千葉高校卒業後、2012年中国最難関の美術大学・中央美術学院の造型学院に入学。制作と研究の日々のかたわら、北京のアートスポットを散策する。ここでは北京のアート事情、美大での生活などをレポートしてもらう。