宮本承司 《柿》

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宮本承司 《柿》

商品名: 宮本承司 《柿》
商品番号: 20111003
販売価格:

\15,400

消費税: \1,400 内税
規格: 20×20cm 木版 ed.20 額付

商品詳細
寿司×木版画というジャパネスク

野口玲一


 初めて観たときには驚いた。寿司が何の脈絡もなく現れたからだ。明治洋画のフロンティア高橋由一に豆腐、焼豆腐に油揚げを描いた絵があって、唖然とさせられたことがあるが、それらは俎板に載っており、今にも調理される食材としてそこにある。食べ物を描くのが珍しいというのではない。17世期スペインでは「ボデゴン」というジャンルがあり、食にまつわる様々なメタファを表現する静物画として確立されていた。食品があるのは厨房であったり酒蔵であったり然るべき場所であり、そこにある必然は疑いようがない。浮世絵で寿司は数多く取り上げられているが、宴席での肴であるとか、店の宣伝のためといった目的があって、それ自体が静物として描かれているような例は思い浮かべることができない。宮本の描く寿司はぬっと現れて、何故それがそこにあるのか説明することをしない。それどころか空を飛んでいたり、動物と組み合わされたりしている。この出し抜けさが観る者に驚きを与えるのだ。
 寿司を取り上げるのは目の付け所が良いとも思う。ユネスコ無形文化遺産である日本食を代表する寿司を、浮世絵から続く伝統的な手法である木版で描く。この主題はジャパネスクな異国情緒をかき立てるモチーフでもあるし、日本人としてのアイデンティティも明確だ。戦略的に選んだ対象なのかと作家に尋ねてみたら、それは意識していないとはぐらかされてしまった。食べ物をシリーズとして描くうち、寿司の形や色のバリエーションの豊富さに魅せられ、それを展開してきたのだという。
 寿司が現れたのは唐突だと書いたが、その表現もストレートだ。どの作品でも対象がほぼ中央に据えられ、輪郭を用いず明快に画面が構成されている。グラデーションが巧みで、光の表現と色彩の透明感が際立つ。そこから生じる軽妙さが、ユーモラスな主題と相まって、驚きに止まらぬ魅力を与えているのである。(美術評論家)

みやもと・しょうじ
1988年大阪生まれ。2010年大阪芸術大学芸術学部美術学科版画コース卒業。同年、京展館長奨励賞。15年CWAJ現代版画展 60周年記念大賞展奨励賞、19年アワガミ国際ミニプリント展審査員賞ほか受賞多数。個展、グループ展多数。現在、アトリエ凹凸版画工房講師、大阪芸術大学版画コース講師。


この作品は美術誌「月刊美術」との連動企画です。作品の応募は2020年11月10日を締め切りとしてご応募を受け付け、応募多数の場合は抽選いたします。
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