えっちゃんの中国美大日記 第3回「李叔同展覧会の方々とお食事会」

えっちゃん4

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急がば回れ!だけど
急いては事を仕損じる!!

■突然の呼び出し

午後2時半から冬休みの宿題の展示があるので、午前中の授業がおわってすぐにポートフォリオの準備をすれば、ぎりぎり間に合うはず!
そう思って急いで寮の部屋で文章を打っていたら、急に中央美術学院美術館の李先生から電話で、通訳の仕事をして欲しいと頼まれた。それも11時半に!そんな無茶な!冬休みを費やした宿題だから、時間をかけて完璧に展示したいし、だからといって翻訳の機会もなかなかない……。どちらにしようか、断ろうかと悩んだ挙句、李先生の一押しもあって了解した。

OKしたのはいいものの、あと30分しかないんだからもうそれは大変。12時半からの大掃除を班長に電話して、タイトル変更で本当はコピーしなければいけないものを、時間短縮でそのまま訂正して班長にめっちゃ怒られたり。もうこれは11時半に間に合わないんじゃないかと思ったりもしたけれど、仕事を引き受けたからにはあとから断れない!

なんとか李先生に時間をズラしていただいて、コピー屋さんへ。学校の近くのコピー屋さんなので、ほとんどが中央美術学院の学生だった。急いで受付番号をもらったら前に2人もいるし、店員はおしゃべりしていて、前の受付には3人しかいない。待っている時間があまりにも長いので、店の人にとにかく早くしてください!!!とお願いして印刷した。

そこから教室に行くと、昨日壁に貼った白い紙が全部落ちている!ただでさえ時間がないのに、どうするんだ!!と思いながら、何度修復してももうすでに紙はやぶれてしまっているので、しょうがない、これはそのまま作品を展示するしかない!と苦心しながらギリギリまで作業。

携帯電話がなったのですみません李先生と思いながら李先生が「東門に来てください」とのことなのでいそいで階段を駆け落りて東門まで走った。

状況の判明

李先生のもとへ走っていくと、そこにいたのは、東京藝術大学の芹生先生、中央美術学院修復担当の徐先生、華協の陳先生だった。つまり今日は東京藝術大学の芹生先生が日本に帰られるので、中央美術学院美術館での李叔同展覧会に関わった方々の打ち上げ食事会があり、陳先生は用事があっていけないので、私が彼女の代わりに芹生先生の通訳をするということなのだ。わたしはようやく理解できた。

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(画像)李叔同展示ポスター (中央美術学院美術館から引用)

李先生は今日は忙しいのにごめんね、どんな宿題?私から先生方に伝えておくよと労ってくれた。

陳先生を見届けてから、今回食事会にいくまでのバスのもとへ。バスのとなりに男性が立っていたのでよくみたら、中央美術学院副館長の唐斌先生ではないか!早速あいさつをして、バスに乗り込む。

芹生先生のお隣に座って、「今日は、先生の持っていた紙袋をよくみかけます」と伝えたら、先生は「今回の展示の冊子や、ここの美術館の所蔵品の書が模様になっているスカーフをいただいたの」と話していた。また先生は「今日は展覧会初日だから人がすごく多くてゆっくり展示を見られなかった」と笑っていた。
美術館の4階に飾ってある、中央美術学院がまだ北平という名称で知られていた頃の代表的な作家の展示の中に矢崎千代二という日本人作家の作品があることを話したら、先生は「ここの美術館は彼の作品をたくさん所蔵していますよね。横須賀美術館で彼の展覧会をしたとき、東京藝術大学もいくつかお貸ししたんだけど、そこの学芸員さんが中央美術学院からたくさん作品を借りられていたし、中央美術学院で矢崎千代二の調査をしないかと誘われたよ」と答えてくれた。
今回の展示作家である李叔同は中国では知らない人はいない、超有名人。作曲から劇団、美術までアート全般で優れているからほとんどの友達が知っていますと芹生先生に伝えたら、李叔同は日本に留学した際に劇団絵を立ち上げたり、もともと裕福だった家庭なので文化的素養があったと話してくれた。

いよいよ食事会

レストランにつくと、大きなビルの1階の店のスタッフはみんなキレイなチマチョゴリを着ていた。ピカピカの店内を歩いて、案内されたのは大きな個室。唐先生がみなさんの座る場所をそれぞれ気を配って決めてくれていた。私は通訳担当ということで芹生先生のとなりに座ることができた。
今回の食事会には中央美術学院美術館の方々、芹生先生、李叔同記念館の館長と関係者、李叔同のお孫さんがきていて、だいたい10人ほど。芹生先生のとなりに空席があったのでいったいそこには誰がすわるのか、謎。
全員が席についてから少し経った後、ある男性が部屋に入ってきた。もしやこの人か!?と思ったら、やっぱり!空席の正体はなんと中央美術学院美術館の館長、王璜生先生だった。

李叔同についての話が弾んで、あっという間に芹生先生が空港へ向かう時間になってしまった。芹生先生を見送ったあと、私は冬休みの宿題展示のためにダッシュで学校に戻った。

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(画像)食事風景 1

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(画像)食事風景 2

 

☆次回の配信をお楽しみに!

江上 越(Egami Etsu)
1994年千葉市生まれ。千葉県立千葉高校卒業後、2012年中国最難関の美術大学・中央美術学院の造型学院に入学。制作と研究の日々のかたわら、北京のアートスポットを散策する。ここでは北京のアート事情、美大での生活などをレポートしてもらう。